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登場する観音様の紹介

渡岸寺観音堂

「宝冠ですな、これは。―みごとな宝冠ですな。」

「頭の上の十一の仏面が、王冠のように見えますね。外国の天子のかむる王冠に似ていませんか。宝石をちりばめた天子の冠り」

十一面観音さま

架山が“王冠”と表現する観音さまの仏面。

うず高い髻の頂に菩薩面、天冠台上の地髪に菩薩面2つ、瞋怒面2つ、牙上出面2つ、背面に大笑面を配し、さらに本面の両耳の後にもそれぞれ1面ずつ。

一般的な十一面観音さまは、頂上に如来相であるが、渡岸寺の観音さまは五智宝冠をつけた菩薩相である。

架山はこの『星と祭』で最初に出会う観音さまを威にみちた古代エジプトの王妃のようだと感じた。

仏像といった抹香臭い感じはみじんもなく、新しい感覚で処理された近代彫刻がそこに置かれてあるような奇妙な思いに打たれたのである。

【公開】通常公開
【住所】滋賀県長浜市高月町渡岸寺50番地

石道寺

この十一面観音さまは、村の娘さんの姿をお借りになって、ここに現れていらっしゃるのではないか。

十一面観音さま

架山は石道の観音さまを「観音さまと言うより、美人がひとり立っている。」と表現する。
威ある美人ということではなく、あくまで素朴な優しさを感じていたのである。

唇の赤さ、笑いをふくんでいるように見える口もとから、下ぶくれの頬のあたり。
観音さまの表情からその優しさを架山は感じ取っていた。

村内のもめごとなら何でも引受けて下さりそうな物を、その顔にも、姿態にも示していらっしゃる。

【公開】通常公開 月曜日休み
※12月30日から2月末まで冬季休館
【住所】滋賀県長浜市木之本町石道419

赤後寺

「人間の苦しみを自分の体一つで引受けて下さっていたので、あの仏さまはあのような姿になってしまったんだ」

千手観音さま

唐川の観音さまはお顔立ちがキリリとし、上半身は部厚く、下半身は肉付けを厚くせず、全体にスラリとした美しさがある。

『星と祭』ではその美しさに触れられつつも、さらに踏み込んでいる。

架山は唐川の観音さまと出会い、観音さまの姿を通して観音さまを信仰した村人たちの姿を思い起こすのである。

今となっては、十一面観音以外、それが通過した長い時間については、誰も知っていないのである。

【公開】要予約
【住所】滋賀県長浜市高月町唐川1055

西野薬師堂

顔も堂々としており、胸のあたりも、僅かに捻った腰も堂々としている。

十一面観音さま

架山はヒマラヤへ行くことで、大三浦に対する見方が大きく変わった。

そんな架山がヒマラヤから帰ってきて最初に拝んだのは西野の観音さま。

架山も、総代さんも堂々とした観音さまと感じている通り、西野の観音さまは肩幅が広く、胸腹部も厚く、腰から足元にかけて、どっしりと表現されており、重量感がある。

胸も厚く、腰回りも大きく、ひどく体格のいい観音さま。

【公開】要予約
【住所】滋賀県長浜市高月町西野1696

医王寺

胸飾りも多いし、頭飾りも多い。歩き出したら、あらゆる飾りが鳴り出しそうである。

十一面観音さま

大見の集落に到着し、架山はひどく寂しいところに来たような気持ちになる。

ついに架山は医王寺で「みはるに似た観音さま」と出会う。

丸く小さめのお顔、正面から拝むとほっそりとした体つきでどこか幼く、儚げにみえるまさに「清純な乙女の体がモデル」のような観音さま。

帰りの車の中でうとうととした架山の瞼に医王寺の観音さまが浮かんだ。

たくさんの装身具を頭や胸につけた乙女の観音さまを拝むのは、春光と春風のもとが一番いいに違いないと思われた。

【公開】要予約 月曜日休み
【住所】滋賀県長浜市木之本町大見753

善隆寺和蔵堂

飾り気というものの全くない質実な美しい女体を、この観音さまは持っておられる。

十一面観音さま

架山は観音さまの横手に回り、「この地方で造られた観音さまだという気がする。」と感じている。

架山が横から観音さまのお顔を拝しているのは和蔵堂の観音様のみ。

約一〇〇センチの観音さまに対して厚みのある観音さまで、正面から拝むとさらりとバランスも均等で装飾もシンプルと、印象が異なる。

決してすらりとした感じの観音さまではない。ずんぐりして、がっちりした体付きである。

【公開】要予約
【住所】滋賀県長浜市西浅井町山門964

己高閣(鶏足寺)

これもどことなくこの地方の人の面輪を持っている感じで、素朴で、美しかった。

十一面観音さま

架山は己高閣の観音さまを「村一番の美しい内儀さん」と表現している。

目はややつり上がっていながらも、伏せた目が子どもを見守るような優しさをはらんでいる観音さま。

架山は次第に自身が十一面観音の面に亡きみはるの面影を探していたのではないか、と気づき、みはると観音さまを意識的に重ねるようになる。

そして「鶏足寺の十一面観音を拝んだあと、架山はどこへも行く気になれなかった。」ほど、その出会いに満たされたのであった。

美しく、優しく、貴いものに接したあとの満ち足りた思いを、そのままの形でそっとしておきたかった。

【公開】通常公開 月曜日休み
※12月から2月末まで冬季休館
【住所】滋賀県長浜市木之本町古橋1100

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※詳細は長浜観光協会北部事務所へお問い合わせください。

長浜観光協会公式HP http://kitabiwako.jp/

TEL.0749-82-5909(長浜観光協会 北部事務所)